カットスロート・アイランド

 そこそに見られる作品では有るが、スピーディな印象が有る反面、妙にトロイ印象も有る。作品自体には相当な金が掛かっているようだが、その割には印象が薄い。まあ、脚本や、一部のカメラワークにも問題が有るものの、最大の問題は、主人公の女海賊の印象の薄さだろう。そこへ持ってきて、脇役も敵役も何故か印象が薄い。結局の所、内容に対する役者の選定ミスだろう。
 ジーナ・デイヴィスが懸命に演技をしているのはわかるが、如何せん迫力が無い。古典的では有るが、グラマスな正統派の美人女優か、活動的なイメージに拘るのなら、もっとボーイッシュな感じの女優を使えばもうちょっと何とかなったのだろうが、実際は、お転婆な女の子がそのまま大人になったという感じのそばかすの残る女性。なんとも迫力の無い事おびただしい。
 印象が薄いと言えば[ クイック&デッド ]もそう。ストーリ的には凝った作品だし、敵役はジーン・ハックマン、脇役もレオナルド・ディカプリオなのにだ。原因は、やはり主役のシャロン・ストーンに有る。ストーリからみて、もっと生々しい感じがする作品なハズなのに、彼女にはそういう感じが無い。
 結局、セクシな女優という選定基準そのものには間違いは無いのだが、実際にやらせてみたら、全然セクシじゃなかった点に問題が有る。本人がガンウーマンらしさを強調しすぎたのか、役柄に合っていなかったのか。まあ、妙に凝った演出や脚本にも問題はあるのだが。