自転車のヘッドライト改造記事について

 自転車のヘッドライトについて調べていたら、改造記事を見つけた。

が、これって無茶ではないだろうか。

アキバで1W、2.6Ωの抵抗を買ってきましょう。
これだけで350mAが750mAぐらいに変るはず。

5.8Ωの抵抗から2.7Ωに変えて、とりあえず700mA流れるようになりました。

計算してみると、

W = I^2 * R = 0.7 * 0.7 * 2.7 = 1.32W
32%オーバだ。さらに、ドライブ回路に倍の電流が流せるのかも不明。設計が0.35Aなら、汎用ICを使用しているという前提では、駆動回路の最大電流は0.5Aの可能性が考えられる。さらに、密閉された容器内で0.7W( *1 )も増えるのだから、容器内の温度が上昇して、駆動回路やLEDの寿命を下げる可能性も有る。ついでに記載すると[ 2.6Ω ]や[5.8Ω]などという抵抗は存在しないし、

5.2Ωのように見えるので

[ 5.2Ω ]という抵抗も存在しない。大丈夫か?

 所で、この設計だと使用時間の経過と共に電圧が低下してくるので、明るさも低下する事となる。実際、説明書にも、そのように記載されている。が、この設計はどうだろうか、ヘッドライトの重要性を鑑みれば、定電圧回路を使用するのは当たり前だと思うのだが... 。( *2 )
 さて、各電池の性能だが(データは三洋ではなく松下)、

アルカリ乾電池の場合、

  • 初期電圧1.6Vから急速に1.4Vに低下。
  • 前記程ではないが、キツイ勾配で1.1Vまで低下。

となり、負荷電流250mAでは、1.6Vから1.2Vまでの時間は3時間と大変短い。これに対して、ニッケル水素電池は、

  • 初期電圧1.4Vから1.3Vまでは急速に低下。
  • 1.3Vから1.2Vまでは緩やかに低下。

と、負荷電流420mAでも1.4Vから1.2Vまでの時間は4時間と1時間も長く、優れた特性となっている。また電圧変動も、アルカリ乾電池の1.4V±0.2Vに対して、ニッケル水素電池は1.3V±0.1Vと1/2になっていて、これまた優れている。ニッケル水素電池なら、定電圧回路は不要なくらいだ。

追記

 上記には、元々HL-EL510での抵抗値の計算例を記載していたのですが、元になるデータが怪しい事から、間違いを流布する可能性が有るので、その部分の記載を削除しました。

*1:1.32 - ( 0.35 * 0.35 * 5.1 ) = 0.7W : 抵抗値については上記文章参照。

*2:但し、一定電圧以下に成ると消灯する事となるので、一定電圧以下の場合は、定電圧回路を切り離して直結するような安全回路が必要。