キャプテン・フューチャ

 キャプテン・フューチャですが、さすがにこれだけ有名な作品を読んでないというのも問題かと、BOOK OFF で見掛けたのでキャプテン・フューチャ全集6[ 彗星王の陰謀/惑星タラスト救出せよ! ]を購入( 定価¥1,155 BOOK OFFで600円 )してみました。
 ところで、なぜ今まで購入しなかったかというと、くだんのアニメの印象があまりよくなかったからなんですね。オープニングとエンディングの歌が印象的だったので、それが聞きたくて、本編はついでに見ていたのですが、正直、内容はイマイチでした。当時は、原作はそれなりで、あくまでも脚本がよくない( 実際は脚本の方が出来がよかった )のだろうと、漠然と思っていたのですが、アニメの印象が悪かった事もあり、なんとなく買わずにきてしまったというわけです。
 さて、原作の方の感想はと言うと、[ 酷い ]の一言に尽きます。作品自体は1940年〜1950年代と確かに古いのですが、もっと古いH・G・ウェルズ( 1866- 1946 )の作品が、今でも十分に面白い事を考えると、それよりも後の時代で、この内容は随分じゃないでしょうか。どうみても子供向けで、しかも今時の子供なら見向きもしないようなレベル。そのくせお色気担当はいる( いいのか )。もちろん科学的考察などは全くされていませんから、ツッコミどころ満載で、時代を考慮しても到底SFとは言えないようなしろものです。
 又、アニメでのグラッグやオットの発言は、随分乱暴だと思ったものですが、原作はもっと乱暴。カーティスですら、いい年をした大人とは思えない喋りです。
 もちろん、翻訳に問題の有る可能性もあるのですが、どうみても原作に問題有りです。なので、今まで購入しなかったのは正解で、私はこの本は薦めません。正直、こんなしろものを名作と称して、スペースオペラの代名詞であるかのように喧伝するのは、随分と罪深い行為かと。
  従って、あのアニメは、脚本においてかなりの修正をおこなっていて、それでもあの程度にしかならなかったという事のようで、Wikiには、

NHKから現代の科学に合うように脚色するよう求められたという

とありますから、脚本家の苦労が忍ばれます。まあ、アイデアだけ貰って別物にするならまだしも、原作を尊重するなら、あれしかなかったでしょうし。